- 【2011年 01月 18日】
- 「お気に入りのシャンソンを聴きながら お洒落にカジュアル・フレンチ」2 渡邊みき
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■第2回:”13 Jours en France ” & Cuisine de Rhône-Alpes
「サーモンのムニエル グルノーブル風」
「グラタン・ドーフィノワ」
「クルミのクラシック・ショコラ」今回のテーマは『白い恋人たち』。1968年フレンチ・アルプスの街グルノーブル(Grenoble)で
第10回冬季オリンピックが開催されました。映画『白い恋人たち』はクロード・ルルシュ監督による
記録映画で、原題は “13 Jours en France フランスでの13日間”、名匠フランシス・レイによって作曲
された、あの甘美でノスタルジックなメロディーを聴くと、ドキュメンタリー映画でありながら、思わず
ラブストーリーを観ているかのようなロマンティックな気分になりますね。今回はこの『白い恋人たち』
を聴きながら味わいたくなるフランスの家庭料理・・・私がグルノーブル留学中に出会った、この寒い
冬の季節にぴったりの、身も心も温まるおもてなし料理をご紹介させて頂きたいと思います。■「サーモンのムニエル グルノーブル風」
~焦がしバターとレモン&ケッパーのさわやかなソースが食欲をそそる一品です~【 材料 Ingrédients 】4人分
〈サーモンのムニエル〉
サーモン4切/小麦粉 適量/オリーブオイル 適量/
塩・コショー適量〈グルノーブル風バターソース〉
バター100g/レモン3個(果肉2個分・ジュース1個分)/
ケッパー50g/パセリ(みじん切り)大さじ3/
クルトン(食パン1枚分)〈ガルニチュール(付け合せ)〉
ナス・芽キャベツ・シイタケなど/飾り用のハーブ(セルフィーユ・ローズマリーなど)/
EXバージン・オリーブオイル 適量【 作り方 Recette】
①食パンを8㎜角のサイコロ状に切り、フライパンでオリーブオイルを適宜加えながら弱火で丁寧にカ
リッとするまで煎り、クルトンが出来上がったらキッチンペーパーの上に広げ、余分な油を取り除く。
②レモン2個分の果肉をクルトンと同じくらいの大きさに切り、1個分はレモン汁のみ準備する。
③ケッパー、パセリは、各々みじん切りにしておく。
④生のサーモン(刺身用が お勧め)に軽く塩・コショーをして、小麦粉をまぶし、オリーブオイルで
こんがりと焼き色がつくまで焼き、サーモンのムニエルを作る。
⑤④のムニエルを取り出したフライパンに、バターを加え、少し焦げ目がつく程度になったら、レモン
果肉、レモン汁、ケッパー、パセリ、クルトンを加え、軽く熱を入れたら塩・コショーで味を調える。
⑥サーモンのムニエルの上に⑤のバターソースを掛け、付け合せの野菜を添えたら出来上がり!■「グラタン・ドーフィノワ(ドーフィネ地方のジャガイモのグラタン)」
~ジャガイモの澱粉が牛乳で煮込むことによって滑らかな
ホワイトソースになるシンプルで美味しいグラタンです~【 材料 Ingrédients 】4人分
ジャガイモ 600g / ニンニク3片 /
バター50g / 牛乳800cc / 生クリーム200cc /
グリエールチーズorミックスチーズ 適量 /
ナツメグ 適量 / 塩・コショー 適量
【 作り方 Recette】
①ジャガイモは皮をむき、5㎜にスライスする。グラタン皿にバターを塗る。
②スライスしたじゃがいも、ニンニクのみじん切り、牛乳、生クリームを鍋に入れ、弱火で煮崩れしないように煮る。
③ジャガイモが柔らかくなったら、ナツメグ、塩・コショーで味を調える。オーブン皿に移し、
チーズをのせ、180℃のオーブンで焼き色がつくまで加熱する。■「クルミのクラシック・ショコラ」
~グルノーブルはクルミの産地。クルミのローストやクルミの
リキュール、クルミ油などを使うと料理に香ばしさが加わります~【 材料 Ingrédients 】φ18㎝の丸型 1台
チョコレート150g / バター100g / 全卵 3個 /
グラニュー糖80g / 薄力粉50g / クルミ50g / 塩 適量
【 作り方 Recette】
①チョコレートを湯せんにかける。
②ボールに溶かしバターを入れ、かきまぜながら①のチョコレートを加える。
③②に卵黄3個分を少しずつ加え、クルミを混ぜ合わせる。
④別のボールで卵白3個分を泡立て、途中で塩をひとつまみ加え、さらに泡立て、グラニュー糖を数回に分けて少しずつ加え、堅いメレンゲになるまで混ぜる。
⑤メレンゲの半分の量を③に加える。
⑥均一に混ざったら、ふるいにかけた薄力粉を加え、軽く切るように混ぜる。
⑦⑥に残りのメレンゲ半分を加えサックリと混ぜあわせる。
⑧型に流し込み、160℃のオーブンで40分程度焼く。1968年2月、グルノーブルで行われた冬季オリンピック。フランスに活気と情熱をもたらし、国全体が歓喜のムードで満ちあふれ盛大に行われたこの冬の祭典、13日間という限られた時間に凝縮された感動的なドラマは人々を魅了したけれども、その夢のような時間というものは、あっという間に過ぎ、終わってしまえば人々はまた元の生活へと戻って行くのだった・・・心の中にあの感動を今でも忘れることなく大切に残しつつ・・・それはまるでクリスマスや大晦日の晩のお祭り騒ぎのよう、終わってしまえば街の飾りは取り外され、人通りも少なくなり静けさを取り戻し、人々は日常へと再び帰っていくもの・・・という内容の歌詞、楽しい時間を過ごしたという充足感と幸福感、時は流れ、やがて美しい思い出へと変わってゆくというノスタルジックな思いは、私たち日本人が移ろいゆくもの、はかないものに美を見いだす感性、「もののあわれ」の無常観と少し重なるような気が致します。原題の直訳は『フランスでの13日間』、それが『白い恋人たち』という日本語のタイトルとなり「過ぎてゆくのね 愛のいのちも 白く輝く雪がやがてとけるように・・・」という歌詞で歌われ、世紀の祭典「オリンピック」という壮大なテーマを「恋愛」のテーマに置き換えた訳詩が、より親しみやすく、甘く切ないメローディーと相まって、一層私たちの心に感動をもたらすのでしょう。
寒い冬の静かな夜に『白い恋人たち』を聴きながら、
フレンチ・アルプスの家庭料理で・・・素敵なひとときを
お過ごしください! BON APPETIT ボナペティ!渡邊みき Miki WATANABE
フレンチ・レストラン&文化サロン「レスプリ・フランセ」経営。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、 フランス・グルノーブル大学に留学。留学時代よりフランスの生活文化に興味を持ち、料理や音楽の分野でTVや雑誌の翻訳を手掛ける。フランス料理を山本順知氏、ダニエル・マルタン氏に師事。帰国後、フレンチレストランを湘南鵠沼にオープン。 2005年には南フランス・ヴァランスの3つ星レストランMAISON PIC(メゾン・ピック)にて企業研修の機会を得る。レストラン経営と平行して「文化サロン」「ライブコンサート」などを企画運営、著名な方々をお招きして湘南における「料理と音楽」の文化交流の場となることを目指す。フランス語クラスを主宰する傍ら、通訳コーディネーターとしても活動。幼少の頃からクラシック音楽を学ぶ。シャンソンをパトリック・ヌジェ氏に師事、現在、レストラン経営の他、フランス語でシャンソンやフレンチ・ポップスを歌う活動をしている。
レスプリ・フランセ 神奈川県藤沢市鵠沼海岸7-7-11
Tel:0466-34-3299 Fax:0466-34-3298 E-mail:info@fr-jp.net
《ホームページ》http://fr-jp.net